ここのところ続けて副作用の注意喚起記事が出回っていますが、今回は7月3日付日経新聞に掲載された記事です。

それによると、骨粗しょう症薬のうちビスホスホネート製剤を4年間飲み続けていた65歳の女性が、以前から指摘されていた歯周病が悪化して抜歯したところ、傷口が治らず顎骨が見え膿も出る状態が続いたとのこと。

大学病院の口腔外科を受診したところ、ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)と診断されたということ。

 

日本口腔外科学会による全国調査で、顎骨壊死は2006〜08年にかけては263例だったのに対し、2011〜13年にかけては4797例と、実に18倍超となったそうです。

尚、ビスホスホネート製剤を服用することになった原因疾患は、がんが47%で骨粗しょう症が45%であることから、がん患者でも口内衛生状態によっては顎骨壊死が起こり得るということが分かります。

治療は対症療法に止まり、根治療法は確立されていません

更に記事では、他の骨粗しょう症の薬デノスマブでもほぼ同頻度で顎骨壊死が起こると紹介されています。

ちなみに、ビスホスホネート製剤とデノスマブでは作用機序が異なるということですが、ビスホスホネート製剤は破骨細胞を殺す作用(記事ではアポトーシスと表現していますが実際には外的作用によるネクローシス)があるということです。

破骨細胞とは言われますが、古くなった骨の吸収とカルシウムの再利用を担っている細胞で、身体には必要なシステムです。

最近では、ビスホスホネート製剤とデノスマブの副作用を併せて「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)と言われるとのこと。

現在対策として提唱されているのは、薬剤を服用する前に歯の治療を行うことだそうです。

ただ、骨粗しょう症の薬というのは、一度服用したらそれで終わるものではなく継続して服用する必要があるものですので、その間歯の治療を控える訳にもいきませんので、あまり現実的な提唱とは言えません。

 

当院の投稿では何度も紹介していますが、薬とは、効果の強弱に関係なく、おしなべて毒です。

身体に害のないような量の毒を治療として使っている、という認識を持つべきであって、薬に頼ることは可能な限り避けなければいけません。

以前も投稿しましたが、東洋医学では薬を上品・中品・下品(品は「ほん」と読む)に分けて、下品から作用・副作用の強い順に並べていますが、そこでもやはり薬は毒だという前提に立っています。

そのことから考えると、最近の薬の副作用や害に関する記事が多いことも、当たり前といえば当たり前な訳です。

「副」作用といってはいますが、それはあくまで使用目的である病の側に立った見方である為、見方が違えば副作用と言っているものも作用のひとつになります。

実際、副作用が作用として利用されているものに、発毛剤のリアップがありますが、これは元々米国で承認されている経口降圧剤の副作用を転用したものです。

 

上記のように、薬には作用と副作用があり、どちらも効果が出たり出なかったりします。

薬の処方を受けても、思ったような効果を実感できないこともありますね。

だからと言って、使用量や回数を増やせば良いと考えるのは安易で、それならばまず食事と生活習慣を見直すところから始める方が、よほど健康的です。

ちなみに、骨の形成には骨に対する軽度の衝撃(足踏みや軽いジャンプなど)や、太陽の光を浴びること(ビタミンD合成)なども重要です(とはいってもやり過ぎは良くありません)。

処方を受ける前に、まずはできることから始めてみれば、予防することも可能です。

日本人は欧米人に比べて薬好きですので、今回の記事に限らず今後も、薬に「頼る」ことに対して警鐘を鳴らしていきたいと思います。



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