7月4日付日経新聞の記事で、マンモグラフィー検査に映らないがんの存在が書かれていました。

原因となるのが高濃度乳房、乳腺が発達している人がそれに当り、記事で乳がんが発見されたのは50代女性でした。

女性は20年間、毎年マンモグラフィー検査を受けていたそうです。

一般に若年女性は乳腺が発達しており、年齢が上がるにつれて乳腺は退行していきます。

記事の女性の場合、既に乳腺が退行していておかしくないところですが、高濃度乳房の状態であった為、最終的にマンモグラフィーでの発見ができずに超音波検査での発見となったそうです。

そう考えると、若年女性にはマンモグラフィー検査は不向きだとも言え、若年女性には超音波検査が一般的です。

また、乳がんは自己診断を定期的に行うことも勧められています。

 

ところで、乳がん検診に関しては、賛否が分かれて侃々諤々論争になっているようです。

色々と検索をしてみて、日経トレンディネットが比較的まとまった記事を掲載していたので、紹介させていただきます↓

◯乳がんは検診で早期発見した場合、9割以上の人が治る(5年生存率が9割以上)のだといわれている。

◯40代以降の女性についていえば、マンモグラフィーによる乳がん検診はメリットがあると考えられる。マンモグラフィー以外の検査においては、乳がんの死亡を減少させる効果は十分に確認されていない。

◯検査を受けた人のうち約20%の人が、偽陽性の診断を受けると推測されている。最終的にがんではないと診断されるが、精密検査次第では針を刺す検査で組織を採取する必要性も生じ、精神的なストレスを患者さんに強いる可能性も指摘される。

◯過剰診断により、乳がんに治療集中した結果、他のがんや病気で亡くなるケースがある。検診を受けて乳がんと診断された患者のうち、約1~10%が過剰診断であると推測されている。状況を複雑にしているのは、診断がついた時点でその乳がんが過剰診断なのかどうか、誰にも分からない点で、進行の速度や症状の悪化は、簡単に見込めるものではない。

◯乳がん検診の効果は以前の半分から3分の1程度にまで減少し、欧米では1000人に対して乳がん検診をしても、1~2人程度の死亡を防ぐのみと推測されている。日本における詳細なデータは存在しないが、もともとの乳がんの発症率が欧米に比較して低いため、そのメリットはさらに小さくなる可能性がある。

放射線被ばくのため10万人に1~10人程度、乳がんが発症することが分かっている。

◯2009年、米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force:USPSTF)が、それまで「40歳以上の女性に対して1~2年に1回のマンモグラフィー検診受診を推奨する」としていた推奨を、「40歳代の女性に対する定期的なマンモグラフィー検診は利益より不利益が大きいので、推奨しない」と変更した。50歳代以上と比較すると、40歳代では利益が不利益を上回る度合いが小さいという。

◯一方で、米国対がん協会、放射線医学会、米国議会は引き続き検診を勧める考えを示した。

◯2013年には、スイスでスイス医療委員会の委員からなる研究グループが、権威ある「The New England Journal of Medicine」誌に「マンモグラフィー健診は乳がんによる全死亡率を低下させない」という研究結果を発表し、定期的な乳がん検診をすべて中止するように促す勧告を出した。

 

さて、上記には矛盾もありますが、まず記事内で40代以降の検診に効果があるとされている中で、アメリカでは「40代の女性に対する定期的なマンモグラフィー検診は利益より不利益が大きいので、推奨しない」とされています。

また上記まとめでは少々分かりづらいので、母数を揃えてみると、

◯乳がん検診の効果    :100〜200人/10万人

◯乳がん検診によるがん発症:1〜10人/10万人

となります。

効果が上った分の0.5%から最大10%の割合で、新たながん患者を生み出している訳です。

振れ幅が大きくて何とも言いづらいところですが、効果に対してやや疑問が残ります。

また、スイス医療委員会でも定期的な乳がん検診は全て中止する勧告を出した、とあります。

数値と海外での動向を見てみると、マンモグラフィーはやゃ劣勢に立たされているようにも見受けます。

 

尚、日経トレンディネットの記事は、以下の文で締められています(以下抜粋)。

日本では乳がん検診の受診率は30%と、そもそも欧米の70~80%に比べて圧倒的に少ないのが実情です。とはいえ乳がん検診のメリットばかりが強調されて、潜在するデメリットに関してしっかりと伝えられない事態は避けたいものです。どんな検査、どんな医療行為にも、メリット、デメリットはつきものです。

年齢や個人の健康状態により、もちろん変わってはきますが、日本において一般的に対象とされる40代以降の女性についていえば、マンモグラフィーによる乳がん検診はメリットがあると考えられます。導入から10年以上経った今だからこそ、より公平な情報が人々に伝えられ、取捨選択できる環境が必要だと思います。

ちなみに投稿者は某病院の医師とありました。

医師の発言の割には、「5年生存率9割」を「9割が治る」と表現しているところにやや疑問を感じますが・・・

 

冒頭の記事に戻りますが、マンモグラフィーで見つけられなかった乳がんを超音波検査で発見したというお話。

注目したいのは「20年間毎年マンモグラフィー検診を受けていた」という件。

これほど長きに亘って受けていたのであれば、何も心配ない頃からずっと受け続けていた可能性もあります(親や親族に乳がん患者がいる場合見られるケース)。

先ほどのまとめにもあった通り、放射線被曝で乳がん発症というケースも考えられる為、20年もマンモグラフィー検診を受け続けたのは、逆に乳がんの発症を誘発した可能性も否定しきれません。

ネット上では、1年に4回のマンモグラフィー検診を勧められて受診していたという方もいるようですが、あまり過度に検診を受けることも考え直す必要があるかもしれません。

自己診断も奨められていることもありますので、まずは自分で調べてみて、おかしいなと思ったら医療機関で診てもらい、そこで定期検診を勧められたらその時点で考える、という流れで良いのではないかと思います。

アメリカで言われるように、40代までの方は、マンモグラフィー以外の検査法も検討してみるのも良いでしょう。

 

今回の投稿は、乳がん検診への一つの見解です。

皆さんにこのようにお願いするものではありません、最終的にはご自身で判断される必要があるでしょう。

最近、がん放置療法で芸能人が死んだ、などの話が言われたりもしますが、何を選ぶにせよ最後は自分の責任です。

日経トレンディネットの締めの一文ではありませんが、取捨選択する為の情報、とお考えいただければ幸いです。



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