医療費高騰・医療費抑制が叫ばれて久しいですが、高血圧の基準が変わってきていることで医療費が上がっている、という事実を知らない人は結構います。

今日はその紹介をしたいと思います。

 

1970年代に世界保健機構(WHO)が規定した基準では、最高血圧を160以上、最低血圧を95以上が高血圧とされました。

1993年になり、WHOと国際高血圧学会(ISH)が、血圧の正常値を「最高血圧が140未満、最低血圧が90未満」と大幅に変え、最高血圧が140、最低血圧が90のいずれかを超えたときには、「境界域高血圧」と呼ぶことになりました。

2004年、日本高血圧学会は診療指針を改定し、65歳以上の高齢者については「降圧目標値」(下げるべき数値)を従来のグレーゾーンの「140~160」から「140未満」に引き下げました。ところが、この診療指針には「この目標値が妥当かどうか、現在のところエビデンス(証拠)がない」と書かれているのだとか。

たかだか20年ちょっとで最高血圧の基準が20も下がっていますし、医学的・科学的に根拠のない基準でもって、高血圧を規定している訳です。

 

また、ネットを叩いてすぐ出てくる情報として、東大がまとめたデータがあり、少し古いですがその中で1999年から2005年まで、傷病中分類全119疾患のうち高血圧性疾患の薬剤費は常にトップだったということです。

その中で、2002年から2005年にかけては特に顕著に薬剤費が上がっていたそうで、2004年に基準が引き下げられたことを考えれば、現在まで高血圧性疾患の薬剤費が増額していることは容易に想像できます。

 

では、実際に適正血圧はどこなのか?という疑問が出てきますが、まずは上記の実態を理解していただきたいので、長くなりすぎるのを避けて次回投稿することにします。

 

※追記:2014年の高血圧治療ガイドラインによると、高齢者については160mmHg/90mmHgを超えた場合を治療対象としていました。後期高齢者については140mmHg〜149mmHgを治療対象とする根拠はないと記載されています。

以下、冠動脈疾患の降圧目標についての記載です、こんな書き方が延々と続きます。

冠動脈疾患を伴う高血圧における降圧目標についてエビデンスは十分ではない。
(中略)
冠動脈疾患においては降圧するほど心血管リスクを軽減できる可能性が示唆される。以上を踏まえて,現時点ではACTIONやJMIC-Bなどから,少なくとも140/90mmHg未満を冠動脈疾患における降圧目標とする446,585,593)。
エビデンスは十分ではないが心筋梗塞既往例,糖尿病,CKDや脂質異常症,喫煙,家族歴などリスクが重積している症例では,心血管イベントリスクが高いため,有意な冠動脈狭窄が残存していないこと,心筋虚血の症状や心電図所見の出現がないことに注意しながら,さらに低いレベル(130/80mmHg未満)を目指す。


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