昔の日本人は拡大家族であった、ということを身を持って知っている若い人は少ないかもしれません。

生まれた時から両親と自分、 あるいは片親だけというケースもあるでしょう。

そして、大学進学を機に一人暮らし、 就職を機に一人暮らし、 といったように親元から離れて暮らすことは、今では当然と思われています。

しかし日本の歴史を少し遡ってみれば、 おじいちゃん・おばあちゃんやひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんと暮らしていた家もありました。

そのような家族構成は拡大家族と呼ばれ、逆に現在一般的な家族構成は核家族と呼ばれるものです。

標題のサザエさんについては、言わずもがな拡大家族のケースです。

昔は家督制度などというものもありましたが、親と暮らすことは一般的でした。

戦後アメリカの思想が入ってくるにつれて、 進学や就職を機に一人暮らし・ 独立することが当たり前のことと思われるようになってきました。

そして現在、離れた親の介護や老老介護といったような問題が新しく起きてくるようになりました。

 

こんな話があります。

アリゾナ大学医療センターの看護師の経験で、どう見ても致命的な頭部損傷から奇跡的に助かった子供が12人助かったケースを見たというのですが、その全員がラテンアメリカ系であったそうです。

同看護師曰く「同程度の重傷を負ったアングロサクソン系の子供で、助かったケースは一件もありません。その違いがお分かりになります?ラテンアメリカ系の子供が昏睡状態になると、家族全員がベットの周りに集まるんです。夜も昼もずっとですよ。そして患者に話しかけ、患者のためにお祈りをして、みんなでその子に愛を注ぐんです。アングロサクソン系の子供は一人です。集中治療室のベッドに一人ぼっちで、意識を失ったまま横たわっているんです。」

アリゾナ州では、老人ホームにはラテンアメリカ系の入居者がいないそうです。

ラテンアメリカ系の家族では、たとえ衰弱した老人でも家族の大切な成員とみなされ、最後まで一緒に暮らしているということですが、そもそも家族構成が欧米や現代の日本とは異なります。

テレビでもよく目にすると思いますが、ラテンアメリカ系の家族は、両親、子供、孫はもちろんのこと、子供の兄弟やその家族までが一緒に住んでいることも往々にしてあります。

家族の繋がり、人の繋がりというのはとても大切なことで、家族が協力し合うのは当たり前、という社会になっているわけです。

翻って日本はというと、昔はそのような社会でしたが、欧米の独立志向が幅をきかせるようになると、そのような社会・家族は「古臭い」「ダサイ」「煩わしい」「他の国(欧米)は違う」と切り捨てるようになりました。

そのほとんどはメディアの「欧米は素晴らしい・進んでいる」という刷り込みにあると思いますが、上記を見れば、捨てたものの代償は小さくなかったことが分かります。

 

改めて表題に戻りますが、今日お話ししたかったのは、日本社会が「ダサイ」などと捨てたサザエさんのような家族構成が、実は病気を防いだり回復を早めたりと、生きて行く上で大切だったということです。

現代の社会問題についても、拡大家族であれば老老介護もなくなりますし、離れた親の介護や介護離職も減るでしょう。

さらに言えば、家族とのふれあいと認知症状の進行度合いに関しても、関連する可能性もあります(昔は認知症がここまで社会問題になっていませんでしたし)。

サザエさん、いろいろな側面で見直してみる時期に来ているのかもしれません。



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