1月9日付毎日新聞に、「 治療に光 かすかな記憶、薬で復活 ヒスタミン分泌促進」という記事が掲載されていました。記事によると、ヒスタミン分泌促進の薬を投与したマウスとヒトで、「忘れたようなかすかな記憶」をスムーズに思い出せるようになることが確認された、と北海道大などの研究チームが8日、米医学誌電子版に発表したそうです。

認知症については、当院も日頃から患者さんと接する機会が多いこともあり、関心があった為少しネット検索で他の記事を探してみました。すると、抗コリン薬を3年以上使用すると認知症のリスクが上がる、というワシントン大学の研究結果が掲載されていました。それによると、65歳以上の認知症のない高齢者3434名を登録し、平均フォローアップ期間7.3年の間に、797例(23.2%)が認知症を発症(そのうち673例 [79.9%]がアルツハイマー病)したとのこと。結果として、認知症全体の発症リスクが1.54倍(1.21から1.96)、アルツハイマー病の発症リスクが1.63倍(1.24から2.14)有意に増加していました。この間の処方箋から、抗コリン剤の使用を調査すると、最も使用されていたのは、風邪薬や花粉症、めまいや酔い止めなどとして処方される、抗ヒスタミン剤で、全体の64.8%に当たる2224名が処方されていたとのことです。

また、他のネット検索結果として、抗ヒスタミン薬投与で前頭葉の血流低下が見られる、という慶應大学の研究発表も見付けました。その中では、特に旧世代の抗ヒスタミン薬が脳に影響を与え、認知機能低下も見られたそうです。今回の毎日新聞掲載記事の逆研究のようなものですが、反証として抗ヒスタミン薬が認知機能に悪影響を及ぼすということがこれで分かります。

ヒスタミンというとアレルギー物質で人間の敵!という認識を持っているヒトが多いかとは思いますが、今回の研究では認知機能を担う大事な物質だということが分かっています。認識を改めないといけないと同時に、無理やり抑え込むこともちょっと考え直さないといけないかもしれませんね。。



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