動的(あるいは静的)ストレッチ、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

昔は一緒くたにストレッチと言われていたものも、最近は使い分けが進んでいます。

一般的に動的ストレッチは運動前に、静的ストレッチは運動後に行うと良いと言われます。

一般的に、と言いましたが、まだ広く浸透した考え方ではないかもしれず、その意味では先日の乳酸の話と同様かも(?)しれません。

 

 

実際に論文として発表されたものとして検索すると、2008年に「股関節周囲筋の静的ストレッチングが投球動作に及ぼす即時的効果」というものがありました。

この論文では、静的ストレッチングによる股関節の屈曲,伸展,SLR(仰臥位での脚伸展挙上)の可動域増大を認めたが、その他の項目及び急速に変化は認められなかった、と結論付けられています。

また、動的ストレッチについては、2010年に「静的および動的ストレッチング後に生じる足関節可動域と筋力の経時的変化」と題する論文がありました。

それによると、関節可動域については、静的ストレッチングでは直後に上昇し10分間維持したのに対して,動的ストレッチング後は徐々に上昇し10分後に静的ストレッチング後と同程度に達した、とされ、筋力については,直後から10分後まで静的ストレッチングよりも動的ストレッチングの方が有意に高い値を示した、と結論付けられています。

簡単に言うと、一般的に言われる「運動前には動的ストレッチ」を支持する結果になった、ということです。

 

 

では、そもそも動的・静的とは何が違うのでしょうか。

端的に言うのであれば、動的ストレッチはリズミカルに反復して行うストレッチであり、静的ストレッチはゆっくりと可動域目一杯まで引き延ばすストレッチと言えます。

注意したいのは、同じストレッチでも行い方で動的・静的に分かれてしまう点です。

例えばアキレス腱伸ばし、これは昔ゆっくりと伸ばせと言われ、勢いをつけて繰り返すとアキレス腱が切れることがある、などとまことしやかに言われました。

しかし、その勢いをつけて繰り返しおこなうことこそ、動的ストレッチに当りますので、現在運動前はこちらの方が良いとされます。

伸脚も同様のことが言え、座った状態での開脚ストレッチも、パートナーにゆっくり押してもらうよりも多少勢いをつけて反復で押してもらう方が良いです。

ちなみに、前述の動的ストレッチの論文では、「最大筋力を必要とするスポーツ活動の10分前に動的ストレッチを行うことでより高いパフォーマンスを行うことができる可能性が示唆された。」と結んでいます。

 

 

ストレッチについては、目的に応じて使い分けることが求められるでしょう。

スポーツ時には、開始前に動的、終了後は静的ストレッチを行うと良いとされます。

度々野球の話ですが、次打者がサークル内で待っている間、身体の力を抜いて小さく跳ねる動作をすると良いなどと言われますが、これも動的ストレッチの部類です。

筋力パフォーマンスを求められない場合、最初から静的ストレッチを行う方法が多く取られます。

介護現場で行うストレッチも静的ストレッチが望ましいと言えるでしょう(但しリハビリ前には動的ストレッチの方が良いです)。

それなりに浸透し始めている概念ですが、まだ知らない競技ライバルに勝つためには知っておいて損はないかも?



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